★2日前に、政治家・報道が「日本経済の活性化」などと言うが、彼らは真の病根が「経済・景気」にあるのではなく、「産業」の構造病にあることを知らない、と書き、順不同だが、日本の企業のIT、特にERPが、ムラ社会的に、その企業独自のものになっていることの重大な弊害のことを書いた。
・・・日本の報道は、飲み屋の生ビールの在庫切れ程度の三面記事的報道しかしないが、アサヒの事件にこそ、日本企業のムラ社会的「手作りEPR」の本質的な脆弱性がモロに出ているのだ。
・・・その点、専門的報道では言っているかもしれないが、代わりに私がここで書かせてもらう。
◆ アサヒのEPRであるSPIRITの実態と悲しさ:

<1>SPIRITは、全くのオンプレミスEPR(社内のサーバーで、社内的に手作り構築したEPR)なのだ。
・・・アサヒも、近年、申し訳的に周辺の一部のクラウド化の試みもしていたようだが、実質、全くのオンプレだ。アサヒのような日本の大企業が、今だに「ムラ社会IT」をやっている悲しい事例の骨頂だ。
・・・オンプレERPは言うまでもなく、攻撃で冒された場合、なにせ、世の中で一つしかない手作り品、しかも、作った人にしか復旧も出来ないシロモノだから、復旧が超困難なのだ。世の中の数多のIT専門家を一気に投入しても、外部の人には誰にも分からない中身のものだから、全く無力なのだ。
・・・これに対して、クラウドERP、特にSaaS(サブスクサービス)型では、ERPのインフラからプログラムまで、巨大ITサービス企業が世界的に展開しているものの「一部」だから、そもそもハッカーが攻めずらいので攻めることも少ない。また、二重・三重の防御機構、バックアップの度合いで、アサヒなどのオンプレミスものとは、比較にならない対ハッカー耐性と復元力を誇る。
・・・というか、逆にアサヒの手作りERPなどは、ハッカーからしたら、初心者コースで侵入・破壊できたものであろう。
・・・アサヒも、そのリスクを認識し出しており、近年、部分的バックアップなどを始めていたようだが、ハッカーからしたら、可愛いものだったであろう。
<2>しかも、しかも、アサヒの手作りERPのITベンダー、どこか知ってるであろうか?? 何と、アサヒ自身のIT子会社なのだ。
・・・ビール会社が、ERPを社内で手作りするばかりか、そのITを子会社でやる!? どこまで「ムラ社会」を徹底すれば気が済むのだろう。
・・・ビール会社は、ビール作りに特化すればいい。ERPは、クラウドの巨大・強大なITサービス会社にお金を払って、彼等の責任で、ハッカーにも強いしっかりしたものにしてもらえばいいのだ。
・・・私は、商社マンの時に、何でも「内製」を好むムラ社会的な幹部に、良く言ったものだ:「商社マンは、しょっちゅうタクシーを利用しますね。かと言ってタクシー会社を子会社に持とうとまではしないですよね!」と。
・・・ムラ社会企業人は、「自分の会社のことは、自分らしか分からない。だから、ERPも何も、当然、社内手作り、しかもITは内部のシステム部門か、IT子会社が担うのがベスト。」と言う。・・・まさに、それがアサヒビールなのだ。
◆ アサヒビールの経営幹部は、そういうIT体制の経営上の意味もリスクを分からないで、今日まで経営してきて、今、はたと気がついていることだろう。 ーーー笑いごとではない。それはアサヒビールだけではないのだから。だから、ハッカーは当然日本企業を狙う。
Nat
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