NHKの番組で、大学の運営が厳しく、授業料値上げで、学生にも皺寄せが来ている・・・みたいなのをやっていた。
・・・例として高知大学という高知にある国立大学で実験の設備が用意できず、運営に支障、みたいな事例も紹介していた。
NHKの番組でも、少子化で大学が過多になり、苦しいという話はしていたが、もっと本質に切り込む報道は、やはりNHKには無理なのであろうか。
【1】私立大学の異様の新設を進めてきた、文科省・自民党政治の
大失政のことは言わないのか??
▶  大学の数のグラフを見てみるがよい。黄色いのが私立大だ。476497688_9164632023615953_7494287613441469235_n
・・・一貫して増えている。
・・・一方、日本の人口増は、1989年に合計特殊出生率が1.57となり、戦後最低を記録、90年代には、もう日本では人口増は終わり減少に転じるという認識が広まったのだ。
・・・しかし、グラフを見てみろ!むしろ90年代から、私立大学新設は加速していくのだ。
▶  なぜか? 私立大学を作り、そこへの国庫からの助成金が増えると、文科省の予算規模が増え、文科省役人の権勢は増す。そしてその地方の自民議員がそれを後押しする。しかも、それをやりやすくするために、90年代に新設への規制緩和までやったのだ。・・・そして、文科省も自民議員も、人口増の終わる予想は、都合が悪いから無視したのだ。
・・・今や、私立大の定員割れの大学の数は全体の59%、そして定員充足率では、地方の私立大では70%くらいはざら、50%以下のところもある。(一方、人気大学では、むしろ競争率が増している。)
・・・これを失政と言わずして、何を失政と言おうか?!
【2】地方国立大のジリ貧
・NHK報道の高知大学だが、今、調べてみたら、まだ入学者数は定員約1100人を充足しているが、受験者数が2023年度に777人減り2166人と激減中。間もなく、定員割れになりそうだ。
・NHK報道で、収入が厳しく実験設備などがそろわない話をしていたが、受験者数の激減は、受験料収入の減少だけでも1千万円単位の減収となる。
‥・NHK番組では、そういう話はしない。
・日本には国立大が86あるが、都市部に25、地方に61と言われる。
・・・地方のは、家の事情などで、都市部に行けない子どものためには都合が良いが、近年「大学まで地元」というのは好かれず、都市部に集中する傾向あり。大学全体の超過多の中で、地方の国立大学も、よほど特色を出さないともう成立しないと言われている。
・・・結局、日本の都市部 vs 地方(過疎)という根本問題なのだ。
⇒ NHKの番組は、以上のような本質的問題への切り込みが浅く、単に「もっと国費で支えてあげないと・・・」と視聴者に思わせるような内容であった気がする。NHKでも、臆せず、もっと自民政治を批判する報道をしてほしい。


 
  Nat