★日本の将来の電力計画につき、自民総裁候補が皆、分かってないか、分かってないフリをして「いい加減な国民受けセリフ」を吐いてきたので、ここの処、ここで、「”再エネばかり”はあり得ない」「原発は全力投球してなお難しいので、”容認”は選択肢になり得ない」ことについて、詳しく書いてきた。
◆ では、結論として、2030年、2040年の電力の種類別割合はどうあるべきか? ーーー 今年中に、政府が2021年に作成した計画を更新する。それを見守りたいが、恐らく自民新政権の、それへの政治的影響力はそう大きくないのだろう。経産省中心に”専門家”の意見で策定されていくのだろうと推測する。
【1】いい加減な政治家が皆受け狙いで言う「再生エネ電力を目一ぱい」:
・極端な人は「全て再エネで」というが、以下の現状での割合では18%。しかも、前からの水力10%を入れてだから、いわゆる太陽・風・バイオマスなどは今、8%に過ぎない。
・私の思うに、2040年くらいを展望しても、再エネ電力の実際的な上限は全体の4割程度だろう。再エネと言っても地熱などは限界あるので勢い、これからは洋上風力になろうが、今は22円/Kwhくらいで高い。設備も工事費も維持費も高いからだ。しかし、「グリーン派」は10円にまで下げると意気込む。少なくとも設備コストを格安中国製で下げていくことなどで、下がる可能性はあろうが。
・そして、それは下がるように努力してもらうとして、どうにもこうにもならないのが、先週詳しく述べた、再生エネを全国電力系統に取り込むための、①需給均し対策(蓄電、スタンバイ発電)、②膨大な新規送電線投資、③系統の交流周波数・波形への統合システム投資・・・これが膨大に発生するので、再エネを全体の半分等にするのは無理なのだ。既に経産省が行っているシミュレーションからも明らか。
【2】とすると、兎に角、先週から書いている通り、しっかりしたベース電力の土台の上に、再生エネと需給調整も兼ねたガス火力などを乗せていく「ミックス」しかないのだ。
・・・更に、ベースは、圧倒的なベース電源の主力候補で「実質炭素なし」の原発、これが今でも未だ僅か8%しかないが、これをかつての目標であった3~4割にまで戻すのは難しくても、2割以上にはする必要あり。
・・・更に更に、石炭火力。これだけ嫌われても、なお圧倒的に世界的な安定供給のある石炭、日本はこれを止めては成り立たない。先週書いた通り、かなりコスト増になっても、CCUSをして炭素回収してでも、日本(やアジア)の石炭火力を必須なものとして世界に主張すべきだ。
⇒ 結局、エネルギ・電力は「一種類に集中」はダメだ。それでは日本を危険にさらす。分散こそが命。将来のエネルギー情勢、温暖化問題の推移もまだまだ分からない。・・・一定の想定で、再エネ一点張りみたいな主張をするのが一番ヤバい。
⇒ 例えばだが、世界に言われてしぶしぶ日本の石炭火力を廃棄し、新規石炭火力を断念したら、案外だね、2050年くらいには「よく考えたら、人為的CO2が温暖化の主因というのはちょっと違ってたかも・・」などという「ナンちゃって温暖化」論になっているシナリオも全くないでもなかろう。だから、何らエネ資源もなく、孤立した島国の日本では、他国以上に電力は分散計画にしないといけないのだ。
・・・新しい自民党政権についた人たちにも、これからでもいいいから勉強してほしい。
Nat
