★日銀が国債買い入れ額を減らす。
・・・一義的には、日銀が、安倍・黒田超金融緩和策での積極的国債買い入れを続けていると、金利の上方調整が何時まで経っても出来ないからである。
・・・しかし、私がコメントしたいのは、いつもながらの日経新聞のその報道ぶりである。
・・・コピー添付するが、日経は、日銀の金利上方誘導策としての国債買い入れ減額に加えて、国債発行残高において日銀保有割合が過半に達しているということを、何ら議論も検証もなく「悪」と決めつけ、減額を「悪からの脱出の正常化」のステップとして報道しているのだ。
・・・ご丁寧に、日経は、欧米の中央銀行の同様比率が2~3割であると書き、あたかも、常に欧米が手本で、日本はダメ国家と言いいたそうである。
◆ 経済専門のはずの日経が、何ら、この点につき、鋭いインサイトを提供しないので、別に専門家ではない私が替わりに、問題提起する:
『日本で中央銀行が、政府国債の過半を保有していることは、日本という国が、ダメな欧米と違い、その点では世界でも卓越したポジションにいるからだとの視点は、日経にはまるでないのか??』
(1) 中央銀行が国際決済通貨を発行出来て、それで、政府の国債買いもしたい場合には出来る、そういう国は、まずドルの米国、そして円の日本だけだ。・・・中国はまだ人民元が中途半端。欧州はEU・ユーロにしてしまったので、欧州中央銀行(ECB)と各国の財政とのズレ問題がある。・・・つまり、米国と日本だけが、この特権的ポジションにあるのだ。
(2) 但し、日本は実は、まだその特権的ポジションは大きく「温存」しているのだ。・・・そこまでしなくても、自然体で国債が回っているからだ。
・・・つまり、日銀の国債保有500兆円のファイナンス(日銀の資金源)の大半は、まだまだ市中銀行の当座預金(500兆円)であり、発行済み日銀券は100兆円でしかない。日銀券100兆円も日銀が無理に国債を買うために発行したものではなく、普通の流通紙幣として発行したものの残高に過ぎないのだ。 ・・・ つまり、言い換えると、日本の国民・企業の持つ膨大な余剰金融資産が行き場がなくて、市中銀行経由、日銀の国債保有に回っているのだ。・・・そんな贅沢なことが出来ている国は、貯蓄性向の高い日本と中国だけだ。
⇒ つまり、国民の金融資産の資金から日銀は国債を保有し、更に(1)の通り、やりたい場合は、日銀券を印刷して更に国債保有することも可能なのだ。米国は国民が借金体質だから、そうはいかないが、日本は、国民が資金持ち、その上に、円を自由に印刷も出来る・・・世界から見ると、何とうらやましい国か?!
(3) 更に、今は、日銀保有国債1000兆円にたいする日銀券は100兆円にすぎないと上記で書いている通りだが、これが増えそうになっても、幸か不幸か、日本経済・日本産業は値上げの難しい過当競争型の産業構造で、大昔の経済教科書的な懸念「日銀の財政ファイナンスはハイパーインフレを招来する」が、世界でも、一番そうならない国、という稀有なポジションにいるのでもある。
・・・上記から、日本だけが中央銀行が国債の過半を持っているということは、その点に関しては日本が大変恵まれたポジションにいるからであって、更に、それを増やしても問題がない、世界でも最もうらやましがられるポジションにいる、ということを意味しているのだが、その観点は日経には全くないのだ。思考停止したままの日経である。   Nat

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