★少子高齢化/総人口減 --- 何が本質的問題か??
・・・内閣府のWebsiteに将来予測のチャートが載っている。以下に溝口コメントつきでコピー掲載しよう。
【1】総人口:
・年間死亡者数は、いまは140万人、今後は160万人。一方、赤ちゃんが生まれるのが年間いまは80万人、将来は年60万人しか生まれない。
・だから、総人口が今は毎年60万人減り、将来は100万人ずつ減る。だから、下のグラフの通り、2060年に総人口は8700万人くらいになる。
⇒ 総人口が減って、何が困るのか? 内閣府Websiteはそれにつき何も述べない。なら、私が述べる:
① 世界の中での「日本経済・市場の大きさ」が小さくなり、日本の市場・投資先としての魅力がいよいよ低下する。また相対的に日本の国際政治力も低下の方向。・・・しかし致命症ではない。
② むしろ、問題は、都市部人口はさして減らず、減るのが地方に集中すること。過疎の進む地方の運営が維持不能となり、インフラ含めて捨てられた市町村が多発する。・・・これはそこに残る住民(特に高齢者)の生活維持困難を産み、結構大きな問題になる。しかし、圧倒的多数の都市部国民がそれに目をつむるならば、極論だが、都市部国民としては大問題にならないとも言える。
(2)超長期:二つ目のチャート。
・出生率(今、1.27)が1.39にまで回復したケース(中位推計)でも2100年に6400万人、一方、出生率が1.10位にまで落ちていくケース(低位推計)では4600万人にまで減る。
⇒ このグラフでは永遠に減り続けてしまいにはゼロになりそうな絵になっているし、2100年以降の予測は見掛けないが、常識的に、出生数が落ちてもどこかで死亡数とつり合い、日本は「数千万人」の国になって安定・均衡するのだろう。
⇒ その場合、上記の地方崩壊が更に進むが、仮にそれを已む無しとすると、都市部と地方大都市にのみ大勢が住む日本になって安定するのだろう。・・・更に、その頃には、欧米各国とも概ね少子化で人口減になってきているとすると、日本だけが沈没することにもならないのではないか。
【2】就労者 vs 高齢者の比率問題:
・つまり、日本が2060年の8700万人、2100年の5千万人とかに減っていくのは、減ったあとの「均衡」状態にまで無事達すると、それなりの安定均衡になるのだが、そこに達するまでに、都市部を含めた日本の経済、日本人の生計が持つかどうか? これが問題だろう。
・最初のチャートの二つ目のグラフで、高齢者比率が今29%なのが、2060年には40%になることに注目して欲しい。
・3つ目のチャートで、就労可能人口の何人で、高齢者の年金などを支えているのかを見ると、今は2人で支えているのが、2050年には1.3人で支えることになる。
・高齢者は死亡で年間に160万人減るのだが、中年層がドンドン高齢者層にシフトするので、高齢者の総数はこれからずっと、ずっと横這いなのである。一方、若い人はどんどん減っていくのだ。そこに大問題がある。
⇒ 昨年の国民負担率(収入中の税金と社会保障費負担の合計の比率)が47.5%ときつくなっていると騒ぐ人のことをここで書いてきた。
⇒ もし所得水準が横這いのままだと、今でも、就労者1人が0.5人の高齢者を支えているのに、それが、1÷1.3=0.77人支えないといけなくなると、ザックリ言って、国民負担率は私の暗算で57%にまで達する。
⇒ 要は、平均所得が今後2割くらいアップしないと、可処分所得では今より更に悪化するということだ。しかし、日本の平均所得はもう20年全く上がっていない。それが、今後、漸く上がり出すと思えるだろうか??
⇒ 以上から、私は最大の問題は、総人口減よりも、働き盛りの層と、高齢者層との比率の悪化、それにより、働き盛りの人の生計が実質破綻、結果、更に少子化になるという悪循環で、日本人の生計と社会保障体系が崩壊することだ。2060年には人口8700万人とか言っているが、そこまで到達できないで、全国民が生計破綻して終わるかも知れない。
◆◆ という中で岸田政権は、いま「異次元の少子化対策」とか言っている。しかし、それをやっても日本の人口動態はそう改善しないだろう。とすると真の課題は、少子化ではなく、日本の経済・産業の「20年間ゼロ成長」を「上向き」にギアチェンジすることである。でないと、全員で破綻する。