★3月14日に、この2月27日に出たIPCCの報告書が、地球温暖化への人類の取り組みの基本姿勢について、「大きな動き」を打ち上げていること、しかし、日本の報道では、この点を見過ごしていないか?と書いた。前回の私の文はコメント欄の通りだ。
◆ 非常に重要だと思うので、更に、その意義につき書く。
 ◆◆◆ 前回までは、欧州・EU主導で、兎に角人類のCO2排出を止めないと、気温上昇してエライことになる・・・一辺倒だった。しかし、ナント、ナント、今回の報告書では、CO2排出抑制による気温上昇の抑制(mitigation)にも拘わらず、結果的に抑制しきれず、世界の気温が今後数十年にわたり、1.5度位上がってしまうリスクが現実のものとの認識を強く出しているのだ!!! そこで、今回、抑制(mitigation)と適合(adaptation)を両方を両立させつつ進めて行こうとの、画期的な基本スタンスの進化があったと私は受けとめている。
・・・報告書のタイトルも、初めて「Impacts, Adaptation and Vulnerability」とAdaptationが入った。
◆ Adaptation(適合)は、以下のようなことだ:
・治水: 異常気象で、干ばつ、洪水による大災害が予見されるのを、灌漑、治水、等でリスク対応していくこと。また、大規模治水の結果は、気象にも逆影響する。
・食料生産対応: 栽培・農耕の場所・方式の調整、都市型農耕。害虫対策、受粉対策、異常気温への対策等。
・森林の復活
・生物(地上・水中・海)のエコシステムが保持されるよう管理
・影響受けやすい低所得層、孤立しやすい地域住民への対応
・海水レベルの上昇:島などへの対応
・水から拡がる疫病対策
・炭酸ガスの回収・貯留
・・・・そしてこれらの諸対策を、ばらばらに個別的に進めるのではなく、総合的・計画的に進めるべきとある。
◆◆ 一方、日本ではこれまで環境派が、適合策となると「温暖化防止に抵抗する勢力の策動」のように敵視し、政府施策内でもママっ子扱いの面があった。それを本家本元のIPCC自身が、「抑制と適合」という車の両輪で掲げたのだ。・・・・これは、人類の温暖化対策の歩みの上で、実に画期的な進化と思うのだが、日本の報道では、このことを取り上げていないように思える。非常に不可解だ。   Nat

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