♪♪ NATの独り言 (心・ジャズ)

生きていく上で信じてること。大好きなジャズのこと等

2025年08月

★高炉からの 安易な電炉シフト - 危ない

★今朝の日経新聞報道で、日鉄がUSSに新規大型電炉を作る件の報道に引っかけて、添付のように、電炉製鉄法が、高炉法よりCO2排出が4分の1と少ないので、世界的に電炉シフトが進んでいることが書かれている。   
・・・その記事でも、一応、「電炉の普及には課題も多い。原料の鉄スクラップは銅などの不純物を多く含み、高品質の鋼材は造りにくいとされる。大型電炉を1基稼働させるには日常的に原発0.5~1基分の電力も必要となり、安定した電力の調達も必要となる。」とは書いている。
しかし、日経には、もう一歩踏み込んで書いてほしい。
【1】日本の電力がいよいよ不足: 
・・・日本で、電炉排出のCO2が、コークスと言う炭素の塊を多用する高炉の排出するCO2の4分の1、と言う話は、現在の程度の規模の電炉が、日本の電力網から供給受ける電力の平均的なCO2量を前提に計算している。
・それが、高炉を置き換える大型電炉は、一基で原発0.5~1基相当の電力を大量消費するとなると、どうだろう。日本中にそういう大型電炉が増えると、ただでさえ、AI、データセンターで電力需要が急増するのに、更に電力需要が増える。一方で、原発は出来るだけ少ないほうがいいとか、再エネは、難しいけど洋上風力を増やせないかしら・・・などと言っているのが、今の日本の電力情勢だ。・・・ここで、大型電炉が一気に増えると、間違いなく電力不足になり、結局、大量の化石燃料火力で補うことになる。それではCO2はかえって大幅に増える。・・・「電炉のCO2は高炉の4分の1」は全くのまやかしみたいになる。
【2】 スクラップが足りなくなる:
・・・今でも、日本の電炉用のスクラップは自給率8割程度。
・・・それが、もし高炉の相当部分を電炉に替えると、絶対に不足する。
・・・中国も電炉比率を急速に高めようとしており、中国が世界のスクラップ原料を吸い取ってしまう恐れもある。
・・・これに比して、高炉法の原料の鉄鉱石は多くは豪州から、コークス用の原料炭も多くは豪州やブラジルからで、経済安全保障の観点からは極めて安定しており、他方、電炉へのシフトは絶対的なスクップ不足のリスクが高い。スクラップはスクラップだから、供給をむやみに増やせないのだ。
◆ 勿論、高炉の出すCO2問題は、水素還元併用にするのか、CO2の回収で対処するのか、といった、それ自体難問はある。しかし、安易に電炉シフトを口走ってもらっては困る。
⇒ 日経新聞は、時流に乗って「電炉シフト」の記事を書くなら、一瞬にして追加で書けるのだから、上記のような、電力問題、スクラップ問題の大きなリスクと、高炉法の経済安保上の優位性などについても書くべきだ。 Nat

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<加筆>★★世界の粗鋼生産のうち電炉の割合が30~35%まででないと、スクラップの絶対的取りあいになって生産が破綻すると見られているようだ。そして、その絶対的限界の電炉比率30~35%に対して、実際の電炉比率は日本約26.7%、世界平均28%前後。それが、中国は今後30%以上を狙い、インドは既に7割弱なのに、まだまだ増産する。だから、間違いなく、人類は間もなく電炉比率上限の30~35%に到達し、スクラップの壮絶な奪い合いが始まるだろう。・・・それで、電炉依存度の高い鉄鋼メーカーは破綻する。電炉シフトは非常に危ない。  〆


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★原発再稼働促進 - 周辺地域自治体へのバラマキより、地域住民への特別価格での電力を!

★政府が、原発再稼働促進のため「原発立地地域の振興に関する特措法」の改正で、原発周辺、現在は10km以内の地方自治体に「地域振興」の給付をするのを、30kmまで拡大することを検討しているとの報道。
・・・特に新潟県の柏崎原発(東電)の再稼働が(東電の度重なる不適切行動でだが)遅れに遅れているが、周辺地域の支持を高めるため、またぞろ、バラマキを拡大しようという話しだ。
・・・新潟県 花角英世知事は、早速「非常に期待をしています。特に避難道路整備に非常に効果を持つので…」と歓迎はしている。
◆ しかし、しかし、私は前から言っているのだが、政府の地方自治体へのバラマキよりも、より合理的なのは、原発周辺住民に対して圧倒的に安価な電気を提供する仕組みだ。・・・柏崎市長は、前からそれを言っている。安価な電力と言うメリットと、原発を抱えるリスク・負担を釣り合わせるのだ。
・・・私が一番合理的と思う仕組みは以下だ。
 ※ 柏崎は、東北電力の供給管区で、東電はそこに場所借りして原発を持っている。住民は、原発受け入れても、東北電力の電力を使う体制に変わりなく、東電原発を受け入れるメリットが全くないのだ。・・・この根本的歪みを解決する。
1)東電小売り会社(東電EP)が、東電発電会社(東電HD)から、新潟ユーザー用に、原発見合いという名目で特別に超安価な卸値で電気を仕入れる。(柏崎原発の再稼働目途が立てば、もう仕入れ開始する。電気に色はついてないから、現在の東電HDの電力を超安く仕入れるのでいいのだ。)
2)東電HDから東電EPへの送電は、東北電力の送配電会社を経る必要あるので、東北電の理解・支援を得る。
3)原発周辺の新潟の住民に(限定して)、東電EPが超安く仕入れた電気を超安く小売り販売する。
・・・これだと、現在の電気事業法や関連法制・制度との調整は案外最低限で済むはずだ。
・・・問題は、東電と政府のやる気だ。
・・・柏崎で前例が出来たら、全国の再稼働地域に応用するといい。  Nat

★洋上風力発電 - 三菱商事の撤退で、こう思う。

★洋上風力発電案件での、三菱商事の撤退。download
・・・私の「古巣」(分野は違うが・・)でもあり、複雑な気持ちになる。
◆私も心意気からすると、「三菱商事たるものが、ひとたび受注し、社会にやるといったものだから、どんなに損失をこうむっても、撤回することなくやり遂げてほしい」とは思う。
・・・しかし、報道の情報から推察だが、以下の事情あり、已む無いのだろう。
(1)2021年の受注時には、総工費(注:Ope&Maint.も入れた総事業費かも知れないが、以下では総工費との前提で書く;所詮圧倒的に工費部分が大きい。)3件計で数千億円と見込んでいたものが、その後のロシア・ウクライナ戦争に端を発する世界的なサプライチェーンの激変で、コスト急増し、今や、それが倍以上、3件で1兆円を超えるようになったと報道されている。
・・・つまり、この情報から言うと、もしこのまま進めると、受注コンソーチウムとして、追加総工費になる数千億円がリターンなしで、丸ごと損金になる訳だ。
・・・コンソーチウムの持ち分は、三菱商事が50~60%、残りが中部電力他のパートナー会社だ。
⇒ つまり、事業を進めると、三菱商事自身の損失は、エイやで2~3千億円、パートナーの損失で1千億円とかになるということだ。
・・・しかし、三菱商事の場合でも、損失の引当金522億円しか積んでない。
(2) 一方、事業撤退した場合、報道ではそれだけで済むのかクリアでないが、違約金的には、日経一面の記事によると「積み立てた保証金200億円を没収され、次回の公募への応札資格も失う。」とあり、金銭的損失は200億円で済むかのような話しのようだ。
・勿論、上記引用の日経記事のように今後の応募資格も喪失されるようだが、三菱商事全体にとっては、致命傷ではないだろう。
・そして、当然、「三菱商事」の信用に傷もつくが、事情が事情だし、更に、三菱商事総体の長年の信用全体としては維持されるとの経営判断なのだろう。
◆ もう古巣になった会社の経営判断のことだから、私がとやかく言うこともないが、 恐らく、三菱商事にとり、撤退せず大損失覚悟で推進することによる、自社の損失2~3千億円、そして、中部電力などパートナーに1千億円の損失をもたらす、そのような判断は、上場株式会社である同社としてはあり得なかったものであろう。
◆ それにしても、三菱商事の撤退する洋上風力案件では、まだコストの低めの「着床式」、つまり、海底に固定できる場所があるケースでの案件だ。・・・しかし、日本列島はプレートの皺で出来ている関係で、山は急斜面、海も急斜面(遠浅でない)場所が多く、洋上風力といっても、コストが2~3倍かかる浮体式が主になるのだ。
・・・そのバカ高いコストは、FIP方式の販売電力価格で、基本的に上乗せ部分を国が国民の負担での補助金として支給する方式になり、そのベースでどんどん拡大していくことには無理がある。
・・・更に、何度も言う通り、風力発電は一旦直流に直してからまた交流に戻す必要もあり、需要を越える部分は蓄電してもらう必要もあり、欧州と異なり、案外「風が気まま」な日本に適するか疑問もある。
⇒ この際、今後の再エネの中心を洋上風力におく我が国のエネルギー計画を、改めて見直し、安全性を増した最新型原発のベース電力をもっと増やし、更に同じベース電源の最先端石炭火力(CO2削減仕組みつき)の活用を考えていかないと、日本の将来の電力供給に大きな不安がある。・・・三菱商事の撤退が、そういう見直しに繋がれば幸いである。   Nat


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★変わりそうもない、農水省と自民政権のコメ政策

★何時もの農水省の「米の小売りデータ」。~8/17 の週のが出た。539154283_24372998705686037_8627655597095899328_n
・・・~8/10の週のデータで、1週間前に書いた通り、小泉安売り米が実際小売りされた量(オレンジ棒グラフ)がもう減少に転じてきたので、農水省の好きな「平均小売価格」(赤い折れ線)の低下がもう終わり、むしろ上昇に転じていたのだが、~8/17の週では、いよいよそれが顕著になった
・・・更に、それも前回書いた通り、バカ高の2025年新米が出回り始めて「銘柄米」の価格(緑色折れ線)は、下がるところか、上昇機運。
◆以前から、私が主張していた通り、小泉安売り米の投入くらいでは、それの市場への「下げ玉」効果は殆どない、と言ってきた通りのことになっている。・・・そして、小泉米を一回買った人も、臭い等が嫌で二回目は買わない人も多いようだ。
◆農水省の計画経済制でのコメ生産体系の破綻で、23年、24年と二年連続コメ価格高騰になったが、2025年、3年目は更に高騰になりそうだ。
・・・それに対して、人気とり指向の小泉大臣が、安売りの超古い米を投入したが「焼石に水」だけであった。・・・そして、計画経済制はしっかり維持しながら、これまでの「実質減産」から、増産にギアシフトしていく方針だそうだが、その効果が出るとしても2026年から。また、政府主導の計画経済制を改めない限り、米市場の混乱は続くだろう。
・・・それでも自民政権が、私が主張し続けている、自由経済体系への転換(民間の長期保管需給調整備蓄米構想も含めて)を採択しそうな展望は、まだ全く見えてこない。  Nat

★地銀のゆるやか統合 - 日本のムラ社会的企業の縮図

★かつて135行ほどあった地銀が、98行に減り、今後、更に減って行くと言われている。地方では1県で1行が精々と言う話だ。
◆これまでは、同一地域での複数地銀が合併して何とか一つの地銀になって経営を維持する事例も多かったが、統合拒否で頑張ってきた地銀も、最近は「緩やかな連合」に参加しないとやっていけない。だから、そういう緩やか連合の事例が出てきている、と言う報道が、今朝の日経記事だ。SBI新生銀行や千葉銀がマイナーな資本参加で仲良しクラブを形成する動きのことだ。(コピー添付。)
◆そもそも地銀の経営が苦しくなっているのは、何故か?
・・・言うでもなく、日本の人口減少・少子高齢化、都市集中の中で、どこの地方も衰退してきており、地方自治体も最低必要規模を維持できず合併の事例が多いが、それの地銀版である。
・・・そもそも人口が減り預金量も減る。その地方の中小企業も衰退し預金ニーズも減る。もう経営単位をなさない。だから、近隣の他地銀と合併し支店を統合、IT投資などを一緒にやって効率化する。そうやって最小運営規模を何とか維持する。
・・・という本質的衰退に加えて、近年は長らくゼロ金利が追い打ちをかけた。
◆ そして、今日の日経記事の通り、統合はしたくない、あくまでも自分の企業ムラを維持したい弱小地銀も、SBI新生銀行とかの盟主大銀行のマイナー出資を通じて緩やかな仲良しクラブに属する動きがあるようだ。・・・しかし、今日の日経記事は本件の一回目のようで、仲良しクラブに属して、どういう連合効果を追求するのか、(まだ)書かれていない。
・・・論理的にあり得るのは、そういう地銀自身は、その地方のまだ預金したい顧客、多少とも融資受けたい企業顧客、そう言う顧客の「営業窓口」役に徹することだろう。営業窓口機能以上の、融資審査のAI化とか、その地方の企業の必要とする諸々の「知恵」やITなどのサポートは、その地銀がやるのは全く無理だから、仲良しクラブの盟主、例えばSBI新生銀行などのリソースに依存する形態だろう。要は、SBI新生銀行など盟主大銀行の「営業窓口化」する路線だ。
・・・それでも、その地銀自身の「ムラ」社会の維持、特にそのムラの中での年功序列人事が維持できれば、ムラ人の安寧は図れる。
・・・本当は、もう割り切って、ムラごと盟主に吸収されたほうが思い切った合理化や「知恵」的経営が進むと思うが、日本の場合、企業の存在目的が「ムラの中の年功序列人事の維持」だから、吸収合併では具合悪いのだ。「あと2年で、次は部長に、支店長に」とかいう、ムラ人の人生唯一最大の生きがいが破壊されるからだ。
◆まあ、合併回避の緩やかな連合だけで済むかどうか、やってみなはれ、、、だ。
・・・まさに日本産業の縮図を見る思いがする。  Nat

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