★今朝の日経新聞報道で、日鉄がUSSに新規大型電炉を作る件の報道に引っかけて、添付のように、電炉製鉄法が、高炉法よりCO2排出が4分の1と少ないので、世界的に電炉シフトが進んでいることが書かれている。
・・・その記事でも、一応、「電炉の普及には課題も多い。原料の鉄スクラップは銅などの不純物を多く含み、高品質の鋼材は造りにくいとされる。大型電炉を1基稼働させるには日常的に原発0.5~1基分の電力も必要となり、安定した電力の調達も必要となる。」とは書いている。
【1】日本の電力がいよいよ不足:
・・・日本で、電炉排出のCO2が、コークスと言う炭素の塊を多用する高炉の排出するCO2の4分の1、と言う話は、現在の程度の規模の電炉が、日本の電力網から供給受ける電力の平均的なCO2量を前提に計算している。
・それが、高炉を置き換える大型電炉は、一基で原発0.5~1基相当の電力を大量消費するとなると、どうだろう。日本中にそういう大型電炉が増えると、ただでさえ、AI、データセンターで電力需要が急増するのに、更に電力需要が増える。一方で、原発は出来るだけ少ないほうがいいとか、再エネは、難しいけど洋上風力を増やせないかしら・・・などと言っているのが、今の日本の電力情勢だ。・・・ここで、大型電炉が一気に増えると、間違いなく電力不足になり、結局、大量の化石燃料火力で補うことになる。それではCO2はかえって大幅に増える。・・・「電炉のCO2は高炉の4分の1」は全くのまやかしみたいになる。
【2】 スクラップが足りなくなる:
・・・今でも、日本の電炉用のスクラップは自給率8割程度。
・・・それが、もし高炉の相当部分を電炉に替えると、絶対に不足する。
・・・それが、もし高炉の相当部分を電炉に替えると、絶対に不足する。
・・・中国も電炉比率を急速に高めようとしており、中国が世界のスクラップ原料を吸い取ってしまう恐れもある。
・・・これに比して、高炉法の原料の鉄鉱石は多くは豪州から、コークス用の原料炭も多くは豪州やブラジルからで、経済安全保障の観点からは極めて安定しており、他方、電炉へのシフトは絶対的なスクップ不足のリスクが高い。スクラップはスクラップだから、供給をむやみに増やせないのだ。
◆ 勿論、高炉の出すCO2問題は、水素還元併用にするのか、CO2の回収で対処するのか、といった、それ自体難問はある。しかし、安易に電炉シフトを口走ってもらっては困る。
⇒ 日経新聞は、時流に乗って「電炉シフト」の記事を書くなら、一瞬にして追加で書けるのだから、上記のような、電力問題、スクラップ問題の大きなリスクと、高炉法の経済安保上の優位性などについても書くべきだ。
Nat
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<加筆>★★世界の粗鋼生産のうち電炉の割合が30~35%まででないと、スクラップの絶対的取りあいになって生産が破綻すると見られているようだ。そして、その絶対的限界の電炉比率30~35%に対して、実際の電炉比率は日本約26.7%、世界平均28%前後。それが、中国は今後30%以上を狙い、インドは既に7割弱なのに、まだまだ増産する。だから、間違いなく、人類は間もなく電炉比率上限の30~35%に到達し、スクラップの壮絶な奪い合いが始まるだろう。・・・それで、電炉依存度の高い鉄鋼メーカーは破綻する。電炉シフトは非常に危ない。 〆

Nat========================================
<加筆>★★世界の粗鋼生産のうち電炉の割合が30~35%まででないと、スクラップの絶対的取りあいになって生産が破綻すると見られているようだ。そして、その絶対的限界の電炉比率30~35%に対して、実際の電炉比率は日本約26.7%、世界平均28%前後。それが、中国は今後30%以上を狙い、インドは既に7割弱なのに、まだまだ増産する。だから、間違いなく、人類は間もなく電炉比率上限の30~35%に到達し、スクラップの壮絶な奪い合いが始まるだろう。・・・それで、電炉依存度の高い鉄鋼メーカーは破綻する。電炉シフトは非常に危ない。 〆

Nat


