★今、世界中に「自制を!」と呼び掛けられているイスラエル。
・・・ 日本人、日本のメデイアからすると、イスラエルは「超・身勝手な国」しか見えない。
・・・ 何度も書いてきた通り、1947年に国連によるパレスチナの2分割。それでアラブ・パレスチナ民族とイスラエルが平和共存するかと言えば、勿論、そこからこそ、解決不能な永遠の抗争が始ったのである。しかも、それは表面的にしか現象を見ない日本人からは、イスラエルの横暴にしか見えないのだ。
・・・国連のパレスチナ分割の1947年の翌年1948年のイスラエル建国以来、イスラエルは機会あるごとにパレスチナ全域を自国領にしようとしてきたから、そうにしか見えないのだ。
・・・1948年以降、4次の中東戦争を戦ったが、1967年6月の第3次中東戦争の「6日戦争」では、イスラエルが圧倒的勝利を収め、シナイ半島、ガザ地区、ゴラン高原などを占領。しかし、その後、第4次戦争の後に、まずシナイ半島を返還、そして1993年オスロ合意でゴラン高原からの撤退、また、ヨルダン川西岸とガザ地域におけるPLO自治政府の自治を認めるなど、両陣営の平和共存が始ったかと思われた。しかしそこから、国連による数々の非難決議が出ている通り、イスラエルの強引な入植・支配地拡大が続いてきている。
・・・もうそこだけでは、イスラエルは「超・身勝手な、ならず者国家」にしか見えない。
・・・しかし、G7の日本以外の6カ国、それとロシアからすると、全く違う風景が見えているのだ。ユダヤ民族の歴史を知り尽くしているからだ。皆、キリスト教で旧約聖書のユダヤ民族の悲劇と神の関係を知っている。中世~近世の欧州でのユダヤ民族への迫害を知り尽くしている。そのどちらも良くは知らない日本人とは、全く見えている風景が違うのだ。
◆ だから、又ここで書くのだが、同じ身勝手・ならず者国家のロシアとイスラエルはまた全然違う。
・・・ロシアは、以下の私の7月12日の拙文の通り、西方の欧州に領土を拡げようと武力行使、侵略を繰り返してきた「侵略の歴史」の国なのだ。西側への劣等感、自然環境の優れない領土が国土で、特に西や南の不凍港の確保のために侵略を試みてきたのだが、兎に角、純粋に侵略国家である。拙文
・・・これに対し、ユダヤ民族の歴史は、世界でも珍しいほどの「民族まるごと」滅ぼされた歴史を繰り返してきているという特異性に加えて、だからということもあるが、ユダヤ民族を支え、時に滅びのシナリオをも与える「ユダヤの神」が背景にある。ロシアの侵略とは全く構造が違うのだ。
◆ この点、先ほど書いた通り、日本人だけは殆ど知らない。一方、G6とロシアは忘れたいくらいに辛く知っている。この違いがスゴイのだ。だから、ここで、私がまたまた書くことになる。
【聖書のユダヤ民族】
・ユダヤ民族の始祖であるアブラハム:メソポタミアにいたが、ユダヤの神の導きで、約束の地カナン(今のパレスチナ・イスラエル)に導かれそこに民族の拠点を構える。
・アブラハムのひ孫の代にカナンの地は大飢饉になり、一族は皆、エジプトに避難。エジプトで奴隷になる。
・モーセの時代に、ユダヤの神の導きにより、民族全体がエジプト脱出、約束の地カナンに攻め入り、そこに住んでいたパレスチナ人を駆逐し、イスラエルの国を作る。
・BC720 年頃、北半分のイスラエル王国(南はユダ王国)がアッシリアに滅亡され、ユダヤ民族10支族が世界に散る。
・その2百年ほど後に、ユダ王国もバビロン(いまのイラク)に征服され大多数のユダヤ人がバビロンに連行(捕囚)される。数十年の捕囚の間に「ユダヤ民族が神を忘れたからか? ユダヤ民族が悔い改めるなら、神が再び支えるだろう」との強い信仰が生まれ、旧約聖書に書かれる。その後、バビロンが滅び、ユダヤ民族はカナンの地に戻る。
・イエスの頃はローマの属国になり、その後、2世紀にローマによって滅ぼされ、カナンの地のユダヤ国家は消失、ユダヤ民族は欧州などに霧散(ディアスポラ)。
【欧州でのユダヤ民族への大迫害】
・早くから、欧州にいたゲルマン民族などに嫌われ「キリスト殺しのユダヤ人」として迫害を受け、11世紀の十字軍では、十字軍による民族集団殺害に合う。
・中世以降では、金融・商業に携わり、余計に嫌われ、次第に追われて東欧・ロシア方面(東方の正教のほうが未だ寛容であった)に移住、しかし、当欧・ロシアでもゲットーに封じ込められる。
・19世紀にユダヤの神の国の復興運動(シオニズム)が起こると同時に、ロシアなどで迫害が激化、特に米国に難民避難。欧州全体のユダヤ民族約2千万人のうち、20世紀初めには、米国に450万人が移住、うち200万人はロシアから。
・そして、遂にWWIIでナチスのホロコースト。多くのユダヤ人の住んでいたポーランドに、アウシュビッツを初めとする5か所の絶滅収容所を作り、5収容所で計270万人、それ以外も入れて総計6百万人が、東欧・ロシアで虐殺された。米国に数百万人逃れても、なお欧州全体で1千数百万人のユダヤ人がいた中で、6百万人が銃やガスで惨殺されたのである。これは現代にまでユダヤ民族の心の中に深い傷を残している。
・生き残りの千万人の半分が、戦後パレスチナに出来た新イスラエルに移住した。6百万人のホロコーストの傷を心に秘めて。
【無理やり作ったイスラエル】
・もう字数がないが、英米のエゴで戦後、パレスチナに人工的にイスラエルを作った。しかし国連が決めた地域分割では、ユダヤ人の信仰のふるさと(カナンの地の中心)はヨルダン川西岸のパレスチナ側になったのだ。エルサレムだけは例外的に街を分割したが、アブラハムの墓のあるべブロンも、ダビデ王の町ベツレヘムもパレスチナ側になった。
・3~4千年の神のご計画で、漸く、約束の地カナンに再び「ユダヤの神の国」を米英が作ったが、無理に作っているので、ユダヤ人からすると、全面的に取り戻すのが「神の御心」なのだ。だから、1967年の6日戦争では、創世記に神がこの世を6日間で創ったと書かれている如く、ユダヤ民族は6日間で全体を取り戻したのだ。・・・この神の戦いを、今日もやっているのがイスラエルだ。
◆ 理解しても、イスラエルに組みする必要はない。しかし、日本は先ず、歴史と背景を理解して、なぜ米欧が複雑な心情でイスラエルのことを見ているのかも理解し、その上で、日本独自の人道路線を打ち出すべきなのである。
Nat






