◆ 日米の半導体関係の「合意」というと、1986年に、日本が米国への日本製半導体の輸出で米国の逆鱗に触れ、輸出を制限、日本でも米国半導体を買う約束を強いられた、あの日米半導体協定を思い出すが、案外、報道では、そのような昔のことには触れてない。
◆ 1980年代、日本の半導体は世界の5割以上のシェア、特にDRAMは80%を越えていた。世界1位がNEC、2位が東芝、3位が日立製作所。その頃までは、NTTの前身である電電公社が各メーカーと日本ムラを構成、電算機用の半導体をNEC、東芝、日立などが自社開発・生産する日本型の体制で、猛烈に威力を発揮していた時代だ。
◆ それで勢いを殺がれた日本勢だが、その後、以下の事が起こっていき、日本の半導体産業は大きく衰退する。
(1)電電公社の民営化でNTTに。従来の日本の強みの背景の「電電ムラ」の崩壊。
(2)電算機からパソコン、更にはスマホの時代へ。従来の電算機時代のように、NECならNEC社内で半導体から電算機製品への一貫製造をする体系から、半導体は半導体専業で、しかもcommodity、大量生産、ファブレスの時代に転換されていくが、日本の半導体は、NEC、東芝などの社内の部門でしかなく、世界の潮流についていけず。
(3)そこで浮いてきた日本の技術者を韓国、中国が拾い、特に韓国Samsungが急浮上。
◆ それが、中国が台湾を武力併合するリスクの高まった今、米国が、国の補助金で台湾TSMCや韓国Samsungに米国工場を作らせる動きとなり、日本も同様TSMCの熊本工場建設を日本政府が半分ほどの資金を出して後押しする。・・・こういう中国リスクがある中での、米日それぞれの動きが方向性合致という訳だ。それで、昨日、次世代半導体の量産に向け、新たな共同研究開発組織の発足で日米合意だ。
・・・実は、日本も半導体用の機能材料では、圧倒的強みを保持する分野が多く、単に米国の子分として合意に入れてもらっただけではないだろう。それでも、中国リスクが、36年ぶりに半導体で日米でくっつけた形だ。半導体製造そのものでの日本の復権はもうなかろうが、日本は機能素材の強みを発揮して、何とか、米国主導ながら、中国に対抗する世界の主導権ゲームに着いていってほしい。
Nat
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★★ 追記:半導体製造事業では、他社ブランドの商品の受託製造(ファウンドリー)に徹する台湾TSMC社が製造では突出しているが、先ほど、以下に示した半導体シェアではブランドでのシェアになっていた。それを、受託製造は受託者の名義で表示したものがあったので、4つ目に掲示しておく。如何に台湾のTSMCがすごいシェアで、それが北京に支配されたら、西側は終了することが分かるだろう。 〆

★★ 追記:半導体製造事業では、他社ブランドの商品の受託製造(ファウンドリー)に徹する台湾TSMC社が製造では突出しているが、先ほど、以下に示した半導体シェアではブランドでのシェアになっていた。それを、受託製造は受託者の名義で表示したものがあったので、4つ目に掲示しておく。如何に台湾のTSMCがすごいシェアで、それが北京に支配されたら、西側は終了することが分かるだろう。 〆
