★TV報道などでは、何か全てのモノの値段が急上昇してエライこっちゃ・・・みたいに言っている。ガソリン、小麦、植物油・・・。確かに、国連食糧農業機関(FAO)の今年1月時点(ウクライナ戦争前)での下のグラフの通り、上がるものは上がってきている。
・・・ウクライナ戦争前には、コロナで供給ボトルネック生じたものが、コロナからの需要回復、特に中国の爆買いもあっての需給タイト化、そこに超金融緩和で商品先物市場高騰・・・というのが主原因。
・・・そしてウクライナ戦争勃発で、小麦などにも影響が出ている。今後、経済制裁の継続によっては、それが続く。
◆しかし、しかしだ、以下のFAOのグラフでの高騰は、必ずしも日本の消費者直撃ではない。
・日本の企業物価指数(概ね「卸し物価」)では、同月前年比が従来の-1%位だったのが、プラスに転じたのは、昨年3月からで、ここのところ+9%位で推移している。
・一方、消費者物価指数(CPI)(前年同月比;東京都速報)では、2021年は-0.2%位だったのが、この3月中旬で、+1.3%になっているだけである。(生鮮食品除外だと、前年比+0.8%、生鮮食品とエネを除外だと、まだ-0.4%。)
→ つまり、原油、穀物、原材料費の9%くらいアップのほとんどを企業が吸収して、消費者には1%アップの影響に留めていることになる。(注:実際には、スーパー等小売りの仕入れコストは小売値の、エイやで言って60%とかとすると、仕入れ値の9%アップは、小売りの価格換算で5%位だから、それと消費者物価1%アップの差額を小売りが吸収していることになる。)スーパー等が値上げしません、、と頑張っている、あれだ。
→ そして、企業の収益は、全産業だが、経常利益の動向統計(前年同期比)で、2021年1Qは+26%、2Q+94%、3Q+35%、4Q+25%とずっと増益中だから、一般論・平均論だが、企業のコストアップ吸収能力はあるということだろう。
◆ 岸田政権は、3月29日に物価対策を含んだ緊急経済対策を発表した。 方法論は未定だが、物価高のしわ寄せが行く中小企業支援、生活困窮者支援をするという。ウクライナでのロシア制裁が長引きそうな中で、特に生活困窮者への何等かの支援は必要であろう。
・・・・しかし、TVで出て来る「物価が上がって・・・」と嘆く主婦のトーンとは異なり、CPIという生計費全体で平均したもので見ると、生鮮食品入れた総合でも昨年比で1.3%上昇しているだけとの統計数字と、主婦のトーンとのギャップはありそうだ。違うかな。
Nat

★★★4月1日追記★★


★★★4月1日追記★★
★話の続き:
・今朝の日経に、またまた、食品価格高騰の記事。その記事によると、これまでスーパー等の小売が値上げせず頑張ってきたが、2月までには、かなり(14品目中の9品目)が店頭でも値上げになっているとしている。
・それでいて、日経だから経済全体にも触れて、そこが私のポイントなのだが、2月のCPIで(生鮮食品除外で)0.6%上昇(前年同期比)と、一応書くことは書いている。
・しかし、私の本文のとおり、3月中旬の東京都速報でも、まだ(生鮮食品除外で)0.8%上昇でしかない。
・やっぱり、日経位になると、CPIの構成要素は「596品目及び、持ち家の帰属家賃4品目の合計600品目を対象」とか書いて、一部の食品の高騰が店頭にも表れていても、消費者の生計全体への影響はまだ限定的、くらいの解説が書けないものか?と思う。
・今日、4月1日からは、いよいよスーパー店頭などでも値上げ実施のものもあり、CPI(生鮮食品除外)は、また少し上がるだろうが、どう見ても、3月中旬で0.8%ならば、4月は精々、1%台程度ではないか? つまり一ヵ月の生計費が25万円の家計があったとすると、1.5%アップは、3,750円/月という計算になる。