電力の原子力への依存が問題になってきていて、「もっと太陽光発電と風力発電を増やしましょう」という声が急に高まってきている。しかし、太陽と風の発電はそもそもエネルギー密度が薄く拡散したものだから発電コストが非常に高くなる。その上、著しく不安定なので、電力供給全体の安定と、更に周波数の制御に大きな不安をもたらす。だから、太陽と風ばかりではダメ。 

 そこで、地熱は?と思うのだが、実は日本の地熱発電は全体の0.2%だけ。日本同様の火山・温泉に恵まれたニュージーランドでは5%だから、日本の地熱発電は非常に少ない。政府の新エネ法上の「新エネルギー」にも入れてもらってない。勿論、それには理由がある。最たることは地熱発電の環境破壊。熱水中の成分の大気汚染とか、温泉用の熱水の枯渇への不安など。それが日本の各地の温泉業者の反対、環境庁も含めた国立公園保護運動を呼び、地熱発電は嫌われものとなってきている。その上、地下に1000~3000メートルも掘り下げるので、調査・準備・工事に時間も金もかかる。 

 しかし、原子力が今のような事態になったからには、日本の誇る地熱資源を圧倒的に見直す必要があろう。幸い、日本の得意な新技術を発揮すると、環境破壊の問題は大きく克服できる可能性が高い。一つはバイナリーサイクル。もう一つが完全クローズドシステム。

バイナリーは、今の温泉利用地で、分散型で小回り導入可能。70度とかの、温泉のお風呂には熱つすぎる熱水を40度に冷ます過程の熱で、アンモニアやフロンなどの沸点の低い液体を蒸発させてその蒸気でタービンを回し発電する。アンモニアなどはシステムの中で蒸気、液体と循環するだけなので環境破壊はない。どうせ、熱い温泉を冷ますという、今は捨てているエネルギーを有効利用するのだ。温泉業者らの新しい収入源にもなる。太陽や風と違い、非常に安定した小回り発電になる。燃料は要らないので、コストも安い。 

  もう一つは、地中に深くパイプを下ろす場合でも、地下の熱水を地上にまでくみ上げないで、地下で熱交換をしてしまう、完全なクローズドシステム。これなら、環境破壊も温泉枯渇もない。従来型の地熱発電は難しい国立公園近くでも、これなら可能性が十分ある。 

 自然なエコのエネルギーというイメージに流されて、太陽だ風だとばかり言ってるのではなく、早く環境保全型の地熱発電を加速すべきであると強く思う。いかが??    Nat