♪♪ NATの独り言 (心・ジャズ)
生きていく上で信じてること。大好きなジャズのこと等
2009年07月
2009年07月18日
17:14
カテゴリ
戦争と平和について
無差別爆撃の心 その2
ドイツが最初にスペインで無差別爆撃をした時、また日本軍が中国人を無差別爆撃した時、「戦争だからやむを得ない」という思いだけでそれが出来たであろうか。私はそこに、相手の民族に対する蔑視や憎悪の心があったのではないかと思うのである。心の問題だから、もはや良くは分からない。しかし、日本軍が中国の奥深くにまで攻め入り1000万人規模の中国人を死に追いやった時、世界・アジアの平和のため、日本の利権のための「已む無い尊い犠牲」と思っただけであろうか。「チャンコロ」という侮蔑表現があったように、中国人を見下し「あいつらは死んでもしょうがないんだ」とも思ったのではないか。勿論、逆に日中戦争に至るまでの経緯の中で、中華思想の中国人が中国在留の日本人市民を虐待した背景もあり、侮蔑はお互い様である。しかし、相手の民族への侮蔑意識が全くなければ、相手国の一般市民に対して無差別に爆弾を落とすことなどはとても出来るものではないだろうと思う。
米国の日本本土での無差別大空襲、そして、そのとどめを刺す原爆投下。「黄色人種ジャップ」への侮蔑が無ければ、そこまでは出来ていなかったのではないか。無差別攻撃という一般の日本人の虐殺を決めた米軍のトップの心の中に、悪く言うと「日本人め、ざまあみろ!あいつら死ねばいい」というのに近い心がないと、なかなか決断できないようなことではなかったか。また、ナチスのユダヤ人大虐殺。これも欧州のゲルマン民族のユダヤ人への敵対意識・蔑視という、長い歴史を持つ感情が背景にあっただろう。商売のうまいユダヤ人の部落(ゲットー) が欧州中にあった。そしてゲルマン民族たちは、そんなユダヤ人を嫌い、「キリスト殺しの末裔」と罵り、虐待を正当化してきた。アウシュビッツ(ユダヤ人大虐殺)は、そのような心を基にして起こったことだ。そして、現代にもそれが続く。イスラムの過激なテロ集団は、ついにはアメリカ本土へ、ハイジャックしたジェット機による玉砕攻撃を実行した。市民も含めた米国人への憎悪がなければ出来ないことだ。
戦争やテロにでは必ず一定の「理念」が掲げられる。大東亜共栄圏、米国式の自由の防衛、キリスト殺しのユダヤ民族の抹消、イスラムの正義・・・。しかし、そのような理念の下に何万人もの市民を虐殺できる「人の心」は理念だけでは説明できない。そこには、必ず「他民族への侮蔑・憎悪」があると思う。そして「他民族への侮蔑・憎悪」の心は、同じ民族の中でも隣にいる「うさんくさい奴」への侮蔑、ダメな奴への軽蔑の心と同じ根を持つ。人は昔から、自分でも家族でも仲間でもない「あいつら」を侮蔑し、それによって自分達を“高めて”生きてきた。そのような人間の心が戦争を生み、そして戦争の中で無差別大虐殺まで生む。何度も言うが「戦争は人の心の中で生まれる」(ユネスコ憲章)のである。そのような心が私の中にもあることを思い、皆と一緒に神さまの赦しと憐れみを祈りたい。
Nat
2009年07月16日
21:37
カテゴリ
戦争と平和について
無差別爆撃の心 その1
今年ももう直ぐ平和を考える8月。私の行っている横浜市の教会の若い人向け夏のプログラムで、今年は横浜大空襲の跡を辿る予定だ。1945年5月29日、米軍は3月の東京大空襲に続き、今度は横浜に対して大空襲を実施した。市街地を焼き尽くす焼夷弾を無差別に投下。一気に1万人の横浜市民が焼き殺された。
しかし、このような恐ろしい無差別空爆は、人類の歴史の中ではもっと前からなされてきている。人類初の無差別爆撃は、1937年にスペイン内戦に干渉したドイツ軍がスペインの街ゲルニカに行ったもの。これで1600人以上が死んだ。しかし人類の歴史上、最初の組織的・持続的な無差別爆撃は、実は日本軍による中国の重慶爆撃である。重慶に逃れた蒋介石率いる国民党政府を壊滅するため、1938年12月から1941年9月までの3年近くの間、重慶市に対して200回以上に亘り空爆。11,800人(中国側発表)が亡くなった。
これに続き、1940年にドイツがロンドンに65日連続で無差別爆撃。英国はベルリンに報復の空襲。終戦真近の1945年には、米・英軍が、こんどはドイツのドレスデンに無差別爆撃(死者3.5万人)。そして米軍が日本本土各地に無差別爆撃(死者:東京10万人、横浜1万人、大阪1万人等)。ついには米国の原爆が広島(死者:14万人)、長崎(死者:7万人)に落とされ、無差別爆撃も極致に達した。そして第二次世界大戦が終わる。
無差別爆撃は、敵国の軍事施設をたたく「戦術爆撃」に対比して「戦略爆撃」ともいい、多くの市民を殺して相手国に戦意喪失させるものという。しかし、戦闘員でない多数の市民を犠牲にするので、国際法的にも早くから禁止の動きがあるにはあった。最初の動きは、1922年のハーグ空戦規則。第一次世界大戦(1914-1918)で人類は飛行機による攻撃という手段を手にした。これを受け、戦後に、非戦闘員への爆撃禁止を盛り込み、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オランダ、日本が調印したハーグ空戦規則だが、批准が進まず結局発効しなかった。それで第二次世界大戦後の1949年にジュネーブ条約が締結され、それの追加議定書が1978年に出来て、漸く「文民を攻撃の対象としてはならない。無差別攻撃を禁止する。攻撃は厳格に軍事目標に限定する。」という当たり前のようなことが国際法の根拠を得た。
しかし、私は、国際法違反かどうかよりも、人の心を問題にしたい。そこのところを次回。 Nat
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